刺激が欲しい・Sっ気ある大人女子向けのTL小説『どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます』(碧貴子)について紹介します!
- 令嬢が王太子を襲う
- 令嬢 × 王太子
- TL要素が多め
あらすじ
アニエスは王太子リュシリュールに婚約破棄を言い渡される。令嬢リーリエと親しい仲になっており、彼女の前で冷たく振る。アニエスは幼いころからリュシリュ―ルの婚約者であり、彼のことを愛していたが、彼からは冷たい視線・言葉しか向けられていなかったことを思い出す。
これで最後だからとアニエスはリュシリュ―ルをお茶に誘ったが、そこで彼女が得意な魔法を使って彼を拘束し彼をベットへ運んで襲った。彼女はこれで最後だから蔑む言葉を贈りながら彼を凌辱し、約束通り彼女は彼との婚姻の契約魔法の破棄をした。
そのまま実家の協力で隣国へ身を寄せるが、いまだ彼が婚姻の契約魔法を破棄していないことを疑問に思いながら過ごす。しばらくして街に外出したときにリュシリュ―ルに見つかり軟禁される。毎晩毎晩、時間の感覚を忘れるくらいにリュシリュ―ルに凌辱されるアニエス。ところが
登場人物
アニエス・ドラフィール
リュシリュール・ドミエ=マギノビオ
リーリエ・ウィルスナー
もこもこの所感
お互いに愛しているのに、お互いを傷つけあったりとヤキモキする展開が続きます。暴力的な表現があるため、好みが分かれるところです。
おもしろいくらいにリュシリュ―ルからアニエスへの”愛”を感じられなくて、極めた不器用さみたいなところがアクセントになっています。
感想
最初がすべて。物語の全てがそこにつまっていると思う。ストーリーの最初にアニエスのリュシーの想い、そしてリュシーの冷酷な態度と言葉に「断罪されて婚約破棄されて、復讐するようなザマー的な内容なのではないか。」とちらっとよぎった方もいるかもしれない。
ところがどっこい、アニエスはそんなリュシーを拘束して仕返しする。誰がこんな展開を想像するだろう?そこまでする令嬢ってあまりいないような気がする。いや、いないと思う。仕返しの仕方が暴力的でもあるので、好みがわかれるところかな?と思うけれど、物語の中のお話でリュシーに冷たい態度をとられてきて不誠実な対応をされていたということを考えるとスカっとした気持ちにもなる。と同時に、アニエスのことが可哀そうにもなってくる。そんな態度をとったとしても、アニエスはリュシーへの愛は持っているから、その矛盾するところに人間くささを感じた。
リュシーはとても冷たい態度をとっていて、アニエスの家と敵対する(政敵?)の令嬢と親しく付き合いそれを見せつけたり、彼女の前で婚約破棄を言い渡したり。リュシーの見えないところでその令嬢はアニエスに嫌がらせもしている。
なんでここまでアニエスに酷い態度をとるのか。
リュシーは王太子であって、発言には力を伴うのだから、そんなことしなくたって婚約破棄を言い渡すことはできる。たぶん、アニエスは理由は聞くかもしれないが、縋り付いて泣きわめくような女性ではない。どうしてそこまで非道になるのか?それが私の感じていた疑問。
そしてアニエスのリュシーへの報復と逃走。だから、この話はアニエスがリュシーから逃げ切ることがテーマなんだなと思った。ハッピーエンドは、正ヒーローと出会って結ばれるとか、リュシーが捕まえて丸め込むとかそういうことなのかなぁ…とかいろいろ考えたけど。
違かった。
逆にアニエスはリュシーにつかまって監禁状態になったり…とやったりやりかえしたりというのが繰り返される前半。
壮絶な痴話喧嘩?と結果的にはいいたくなるけれど、アニエスにとってはよくなかったことだけど、本心をはっきり言うことができて良かったのかなと思うし、リュシーにとってもプライド高いだけじゃなくってアニエスに素直な気持ちをつたえられたのだから万々歳。
いや、どれだけプライド高いんだリュシー……。原作ではこのあとに続く物語があるのだけど、リュシーの変貌ぶりには驚く。デレの部分が主に。リュシーのデレ。壮絶なやきもちとか。こういうのは萌える。
この物語では、ヒロインとヒーローがどっちも好戦的でそこが夢中になるポイントで。いいよね。やられたりやり返す。
でもここでもリュシーがアニエスに冷淡な態度をとっていたのにつれ戻した理由がわからない。
なぜ?
と思っていた時に、悪役令嬢のアニエスへの暴行未遂とアニエスの魔法暴走からの自殺未遂?強気で好戦的に見えても、アニエス、追い詰められていたんだよね。もう嫌になって、もう楽になりたいって思って。
そこで
アニエスが飛び降りるところまでハラハラするし、落ちるときに「えぇぇ!!」と叫びましたが、まさかここでリュシーがアニエスをかばうとは。
あっ、やっぱりアニエスのことが好きだったんだな。
このアニエスの命が危なくなったことで、初めてリュシーの立場、状況、気持ちを知ることになる。ここでリュシーが初めてアニエスに気持ちを伝えるのですが、アニエスとリュシーの問答が本当に面白い。だって読んでいる私も、アニエスに全面的に賛成で、どんな状況で理由があってしたことであっても、アニエスの傷はとっても大きい。
このシーンにアニエスとリュシーの全てが詰まっていて個人的に好きです。それまでの経緯にもやもややイライラを感じていて、なんでお前はアニエスに食い下がるんだ!!と思いつつも、ここまでされるとキュンとしてしまう気持ちもあるわけです。
だって、アニエスとしか子作りできないなんて。皇族なのに。オリバーいるけど立場的に…というのもあるし、アニエスがリードしているのかと思いきや、いろんなところで退路断たれているよね。
リュシーはアニエスに頭が上がらないし、でも自分の主張は絶対に曲げないという芯の強さ。
こんなに食い下がって、ぐいぐい押して、無理やり誓っちゃうんだからそれだけ強く思われて求められるって、やっぱりうらやましい。アニエスうらやましいよ。
というのが本書籍の前半。
この後のストーリーも「小説家になろう」で連載しているので、もしまだ読まれていなければぜひ!お読みください。