少女漫画の設定で憧れる設定の一つは男装女子。男性しかいない環境に潜入するってワクワクドキドキしちゃいますよね。「元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する」は、軍人家系に生まれた末娘ルカが父親の陸軍閣下の命で男装して海軍の艦に乗り戦に行く話です。
- 男装の文官が艦船の副官??非現実的な設定
- 男装令嬢 × 元帥閣下
- 元帥閣下がゴリゴリヒロインを押す
あらすじ
軍人家系に生まれた末娘のルカは、父親の陸軍閣下によって陸軍軍人である男として育てられる。男として剣術などを学び、偽って生きることに理不尽さを感じており、父親に反発するも女として生きることは許されなかった。彼女の唯一の理解者はすぐ上の姉エルザで、ルカが女性として生きることを望んでいる。ある日、エルザが風邪をひいて式典に参加できないことから、父親はルカに”女装”をしてエルザに成り代わるようルカに強要する。皇帝がエルザが美しいとの評判を聞いて会いたいと直直に言われたため断ることができたいためだ。ルカは強く拒否するが、父親に逆らうことができずしぶしぶ参加することになった。そこで、元帥の勲章が与えられたレオンハルト・ヴェルナーと出会う。
ルカは、セクハラを受けている貴婦人を目撃し、それを咎め貴婦人を逃がすが、そのことで逆に暴力を受けそうになる。その様子を目撃したレオンハルトに助けられたことから、叶わないと知りつつもルカはレオンハルトに恋をした。
巡り巡ってある日、父の秘書として連れられて海軍元帥の屋敷を訪問する。レオンハルトは退役したいと申し出ていたため、皇帝からの命でルカの父は引き留めるために訪問したのだった。そこでレオンハルトは退役を取り下げる変わりに条件を提示する。1つは、陸軍元帥の”息子”のルカを副官とすること、2つは、陸軍元帥の”娘”のエルザを嫁にもらうこと。実は、1年前にルカがエルザに変わって出席した式典での出来事をレオンハルトは覚えていて、”エルザ”に惚れていたのだ。ルカはその時の”エルザ”が自分だと名乗り出ることができず複雑な思いでレオンハルトの副官として戦にいくことになる。
もこもこの所感
生まれたときから男として育てられ、成り行きで海軍の副隊長に任命されるルカ。非現実的なストーリーだからこそハマる。男ばかりの艦の中で襲われたりバレそうになったり、ばれたりしながらも、しっかり想い人の元帥閣下と恋仲になるって胸キュン要素がたくさんで悶えます。
感想(ネタバレ含)
戦に行っちゃうの?( ゚д゚)
平和な日本で生まれ育った私は物語にしてもあまり馴染みがないので途中までさら~っと流してしまったのですが、海軍の艦に乗る=戦に行くなんですよね。
なんで事務官が軍艦に?
ルカは父親の書記官、右腕のようなポジションで働いています。海軍で数々の戦に勝ち功績を残したヴェルナー元帥が突然退役を願い出たことから物語がすすみます。
ルカの父親は(皇帝の命で)ヴェルナー元帥を引き留めようとしますが、彼の意志は堅い。とはいえ、敵対国が全戦艦を率いて最終決戦に持ち込もうとしている背景もある。ヴェルナーはこの戦争を終わらせ退役することとルカの父親に見返りを求めました。ルカを副官にすることと、ルカの姉エルザを嫁にすること。
当然、ヴェルナー閣下(レオンハルト)はルカが女性であることを知らない。ルカの父親は「事務官として働いていて戦の経験がない」と断ろうとしましたが、「身内だけ安全な場所に隠して関係ない兵士ばかりを前線に送って戦わせるのか」と言われてしまいひけなくなります。ルカは”男”として陸軍にいるので女であることがばれてはなりません。
そしてエルザ。一年前にヴェルナー(レオンハルト)が元帥の称号を受勲したときにの式典に参加していたのが”エルザ”でした。そこで無理やり連れ込まれそうになっていた貴族女性を助けたのが”エルザ”でその時に彼女に惹かれたらしい。
でも、実際にそこに”エルザ”として参加していたのは妹のルカ。エルザが体調不良で参加できず、どうしても皇族と娘の縁を持たせたい父親がルカに女装させて無理やりひっぱりだしたからだったのです。もちろん、ルカもそのときに出会ったヴェルナー(レオンハルト)に心を惹かれていましたが、”男性”として陸軍にいる以上、本当のことを話すことができません。陸軍には宣誓して入隊するので偽ったということになり、お家の存続にもかかわってきます。苦い思いを抱えながら、嫌々軍艦にのることになりました。
逃げ場のない海の上
戦争にいく軍艦なので当然男性しかいない。軍艦にも規律はあるだろうし、共同生活になるのに、女性とバレないように生活するってそうそう無理じゃない?見えないパワーでバレないのかなぁ…と思っていたところ、わりと早い段階で女性だとレオンハルトにバレます。
みんなで雑魚寝していて、シャワー問題とかもあるだろうに。そこはかわいい男の子で済んでいる不思議。
ルカは”女の子”のようにかわいい美少年。船の上で何カ月も男性しかいないところで生活する者たちの中にはよこしまな感情を抱くものもでてきます。
医務官のクリストフに人気のないところへ呼び出されたルカはそこでさっそく襲われます。そこを早々にレオンハルトに助けられます。さすがヒーロー!それからルカの筋力の無さやかわいらしい姿を心配し、自分の傍にルカを置いてトレーニングをさせたり世話をやくようになります。もちろんルカを心配したのも事実だけど、式典で出会った”エルザ”の姿を重ね、傍に置いておきたかったのだと思います。
そこからがじれったいというか、面倒くさいというか、言いたいけど言えないという悶々とした話が続きます。
レオンハルトは本能で”ルカ”に気が付いているのね!とニマニマ顔が緩みつつ、「エルザは自分だ」と言えないルカにもどかしさを感じています。ルカが男として育てられていなかったら、すぐにでも実は自分だったんだといえたはず。ルカのキャラなら信じてもらえるかどうかということは考えず、気持ちを素直に話したと思う。ルカは姉たちと同じ女であるにも関わらず、なんで自分は……という気持ちを抱えつつそれでもひたむきに、結ばれないとわかっていながら気持ちを抑えることができず。
後にひけないとはいえ、娘を息子として育て自分の希望や野望、すべてをルカに押し付けた父親。ルカは性別を偽っていては、結婚さえもできるわけがありません。ルカの人生すべてを奪ってしまった父親に、気持ち悪さを感じました。
そして女とバレる
初戦で勝ったと湧きあがった直後、残党が1人いてレオンハルトに銃を撃ちます。たまたま視界に見えたルカはレオンハルトをかばい左腕に銃弾をくらいました。レオンハルトはすぐに敵を倒したものの、ルカの出血がひどくしびれがでているため、傷の手当てをしようとするレオンハルト。もちろんルカは抵抗するものの怪我を負っているので抑えることができません。ルカの軍服を割かれたときにさらしも切れてしまい、ルカが女だということがばれてしまいます。レオンハルトはそのまま意識を失うルカの止血をして自分の軍服で”彼女”をくるむと、衛生兵のクリストフを呼ぶよう命令しました。
クリストフをよんだのは、ルカを襲ったことで彼女に借りがあるから。今、男性しかいない戦艦のなかで女性とバレてしまってもルカの貞操の危険があります。レオンハルトはルカの正体を隠すために、治療をクリストフにさせました。
とっても店舗が早く進むのでサクサク読める。とはいえ、こんなところでクリストフ。あやしい。
レオンハルト捕食者だよね
レオンハルトはルカに何故軍艦に乗ったのか質問します。女性だとバレてしまった以上隠すことはできず、七人娘で末のルカが息子として育てられたことを話します。
そしてレオンハルトは自分が出会ったエルザはルカでないか?と問います。
はやっ!いやはやい!でも普通この流れだったら疑いますけど、展開が早すぎる。
レオンハルトが出会った”エルザ”がルカであったことを聞いて、どうして自分は気が付かなかったのか、そしてルカを軍艦に乗せてしまったのかと後悔に苛まれます。そりゃそうさ。あなたが「息子だせ」なんていわなければルカは乗らずにすんだし、ケガすることもありませんでした。
自分が求めていた女性がルカだと知ったレオンハルトは早い。結婚を申し込み、有無を言わせずルカを抱く。
ん?
腕をけがしているルカを抱く。
抵抗するルカに「おとなしくしないと痛むぞ」的なことをいうわけですよ。ルカは左腕けがしているので、ちょっと体重かけたり力を入れると痛むから抵抗できないわけです。いや、動かなくたって、いろいろと力入ってしまえば腕痛いでしょ……?
捕食者。
決めたら速攻手に入れるってデキル男のスキルなのかもしれん。
けが人相手に酷いなぁと思うけれど、その一方でそのシチュエーションやレオンハルトの押せ押せ具合にウハっと血を吐きそうです。キュンします。萌えます。
このシーンが本作の中で一番胸ときめいてギュンギュンやまない。
絶対、実際無抵抗でマグロ状態であったとしてもルカは左腕が超絶痛いと思う。辛いと思う。それでも、返答する前に好きな人に強引にされるのもシチュエーションとしては…(もごもご)
この後は戦について話が展開していき、正直ありえないだろうシチュエーションもあるのですが、レオンハルトの女癖の悪さ?とスパッと女性と縁を切った思いっきりの良さ、強引さだとか、ルカへの愛だとか。そういうキャラクターの良さが見えてくる内容になっています。