大木戸いずみの「歴史に残る悪女になるぞ」。コミカライズ化もしています。
- 歴史に残る悪役令嬢になりたいヒロイン
- チートヒロイン
- 自分の片目を他人にあげてしまうヒロイン
あらすじ
生まれ変わったら乙女ゲームの悪役令嬢になりたいと願い、転生したアリシア。綺麗ごとばかり言っているヒロインが嫌いだった。7歳になったとき、前世の記憶を思い出したアリシアは、前世で最もハマった乙女ゲームの悪役令嬢に生まれ変わったと知り「この世で一番の悪女になって歴史に残ってやる!」と勉強や剣技などの腕を磨きます。
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登場人物
ウィリアムズ・アリシア
闇魔法を扱うウィリアムズ家長女。実は転生者。綺麗事が大嫌いで悪役になりたいと願うちょっとズレた少女。
シーカー・デューク
デュルキス国の王子。水の魔法を扱う。なぜかアリシアに関心を持っているようで……!?
ウィル
ロアナ村の住人。年老いた見た目だが、洞察力が鋭く博識。
キャザー・リズ
この乙女ゲームの世界でヒロインとなる少女。
もこもこの所感
アリシアはとても強い心をもっていて、自分の信念を貫く強いヒロイン。型破りなところはあるけれど、何があっても「悪役令嬢になる!」とちょっとズレたところもかわいらしいです。
感想(ネタバレ含)
物語のあらすじはあまり読まずに購入、読み始めたので、マティサとコシスの距離が近いときに「あれ?」と思ったところからの二人はデキてた??という衝撃が強かったこの作品。実は私はあまりBLに関心がなく、男性同士のアレコレは特別読みたいものではありませんでした。そんな私が「面白い!!」と思うくらいに、はまっていたなと思います。
私がBLを読まないので世界観や定番がわからないということが前提ですが、マティサとコシスは主従関係(ビジネス的な)や信頼関係といったところが、家族に似て非なる関係があるんだなぁと感じました。そんな二人の関係に妄想を膨らませたり、聞き耳たてたりするヒロインのミリアーナに爆笑しました。
てっきり私はストーリーはミリアーナとコシスのライバル関係に発展するのか?と思ったのですが、そうではなくそれらもまるっと受け入れて関係性を築いていくんですよね。この世界でも男性同士のアレコレには偏見などいろいろあるようですが、三リアーナ周辺はそれを推奨するような環境が整っていてそういうところもクスっと笑ってしまう要素でした。
そもそもですが、マティサは王妃の子どもであるにも関わらず「特殊な力」を持っていたために嫌悪され敗着に追いやられます。王としての資質があるにも関わらずです。そして王が、若干年は離れていますがちょうどよいミリアーナがいる辺境の地ダィデスへ婿養子にだします。そのときに自らの地位や家督を捨ててまでついてきたのが側近のコシス。愛ですよね。愛。
一方、ミリアーナは婿入り当日までそんなことを一切聞いておらず激高します。もちろんミリアーナは一人娘なので、いずれ婿をとりその婿様がディテスの領主になることは分かっていますが、まさか第一王子が婿養子になるとは思いもしません。そんな親子とのやりとりを到着したマティサが耳にします。
ミリアーナも旦那様が側近と関係性があっても気にしないしむしろ推奨する変わり者ですが、それらを受け入れ受け止めるマティサもなかなか懐が大きいキャラだなぁ……と。
なにより、恋愛初心者なミリアーナがマティサに寝所に連行されそうになると、助けを求め笑顔でコシスに見送られるという定番のシーンに笑ってしまうし、マティサがヤバい!というときにコシスをけしかけて受け止めさせるなどなかなか見ないヒロインだなぁと思います。
ストーリーは、マティサの後継者争いを軸にすすんでいきます。王妃が何故そこまで疎むのか、王太子となった弟は、そして王は何を考えていたのか、など、徐々に明らかになっていくマティサを取り囲む環境や、ミリアーナが全力でマティサを守ろうとする姿にグッとくる作品です。
なお、本作は露骨な性描写はないので中高生が読んでも大丈夫かなと思います。