百門一新さんの獣人シリーズ2作目の「人隊長の(仮)婚約事情 突然ですが、狼隊長の仮婚約者になりました」を紹介します。獣人というと定番の狼で軍人のレオルドと、身体能力が高く男装をしているカティルーナのちょっぴりあまずっぱくて可愛らしいラブストーリーです。
- カティルーナはレオルドの暴走に巻き込まれ”求婚痣”をつけられる
- 無事仮婚約を破棄するため、カティルーナの性別を偽る
- 反発しあっていた2人が和解し、レオルドの一方通行の片思い
- レオルドが囲ってく
あらすじ
カティルーナは10歳で両親が死別してから、「カティ」と男性名を名乗っていました。伯父に連れられてベアウルフ侯爵家を訪問したところ、3階から窓ガラスを突き破って飛び降りてきた屈強な身体の男性がカティにめがけてきたので、玄関先から森に向かって全力で逃げました。
しかし恐ろしいことに男に追いつかれそうになり、足がもつれて転んでしまったところで背中に跨がれてしまいます。正気を失っている男に言葉は通じず、カティの力では抵抗することもできず、服の上から肩に思いっきり噛み付かれてしまいます。その激痛でカティは気を失ってしまいます。
正気を失っていた男はレオルド・ベアウルフ、狼獣人で王都警備部隊の隊長でもある軍人。遅い第二次成長のため正気を失って混乱していたところに、たまたま訪れたカティを襲ってしまい大きな求婚痣をつけてしまいました。求婚痣というのは、獣人が求婚した相手につける痣でその痣がつくと”仮婚約”になります。獣人によって噛む場所は違いますが、狼族の場合は首元近く。どんな理由であれ、婚約痣がついてしまうと仮婚約とみなされてしまいます。仮婚約になってしまうと王都の外へ出ることができなくなります。そのためカティは男性ということのままにし、痣が消えて婚約解消になるまで3年を王都の伯父の屋敷で暮らすことになりました。
とはいえ、仮婚約をすると定期的に会って交流を深める場を設けなければなりません。2人は顔を合わせると嫌味の応戦やチャンバラになったり、嫌がらせをしてみたりと嫌々過ごします。ところがある日、レオルドはカティと顔を合わせても喧嘩になることが減ってきていることに気がつきます。茶会でも視界を逸らされたり、話もしなくなります。あんなに顔を合わせていたときには、イライラしていたのに、今度は話しかけてくれないことにも自分を見てくれないことにもイライラして……。
目次
- 序章 彼女の不運
- 一章 十三歳、仮婚約者が出来ました
- 二章 十六歳まであと数ヶ月、衝撃の事実を知りました
- 三章 衝撃の事実を知った直後、停戦を申し込まれました
- 四章 狼隊長と周りの受難
- 五章 まるで狼を手懐けているようで
- 六章 三者茶会
- 七章 獣人である彼の恋
- 終章 もう一度、貴方と仮婚約を
- あとがき
登場人物
カティルーナ・ジェラン(カティ)
両親を失い、一人逞しく生きてきた少女。男性名の愛称であるカティを名乗っていた。<<成長変化>>の暴走中のレオルドに襲われて、仮婚約者にされてしまう。剣術・体術に長け、男装をしているためか少年に間違えられる。明るく前向きな性格。
レオルド・ベアウルフ
獣人貴族で、代々軍部総帥を務めるベアウルフ侯爵家の嫡男。王都警備部隊の隊長で最強の獣人・軍人として畏れられ<<狼隊長>>と呼ばれている。<<成長変化>>の暴走中にカティに噛み付き<<求婚痣>>をつける。カティを男だと思い込んでいる。
クライシス・バウンゼン
バウンゼン伯爵家当主。平和脳の持ち主でよく泣く。息子セシルと姪のカティを溺愛している。
ヴィンセント
犬科の獣人貴族の少年。カティが所属する治安部隊第七班の頼もしいリーダー。
ウルズ
猫科の獣人貴族の少年。カティが所属する治安部隊第七班のメンバー。
もこもこの所感
レオルドがカティに正式な求婚痕をつけるシーンが胸キュンです。反発しあって子どものような喧嘩ばかりしていたのに、鬱陶しいほどの溺愛に変わった様などその変化がクる。