ラノベ紹介

愛しているから失うって馬鹿?それでも”物語”には期待してしまう|王冠の護り人と名無しの衛兵(ヴェルヘルミナ)

勝手な都合で異世界に召喚された挙句、召喚した者の都合で結婚し離縁することになったティアラ。戸籍が無い男に下賜されて……。ティーンズラブ『王冠の護り人と名無しの衛兵』(ヴェルヘルミナ)について紹介します!

本作のポイント
  1. 異世界転移して王と結婚
  2. 転移者 × 王族
  3. 離縁され下賜される

あらすじ

異世界から召喚されたティアラは元の世界に帰ることができないということをしり絶望する。後継ぎ争いで異世界転移者を娶ることで優位になることから、そのために召喚され結婚する。毎日、嘆き元の世界へ戻ることを願いなら生活していく中、ライテイは毎日ティアラの元へ足を運び、身体を求めることなく一緒に眠る。少しずつティアラとライテイは話すようになり、少しずつ距離をつめる。ティアラがライテイを受け入れるようになり、好意が芽生えた頃、突然側妃を娶り離縁される。それも”名無し”の男サクヤに下賜するという。突然のことに呆然となりながらも、最後の矜持で笑顔で別れを告げ王宮を後にしたが、好きになったところで捨てられたティアラはやるせない気持ちや恨めしい気持ちでいっぱい。

ティアラはとにかく考えないように動いていたいことから宿屋で働きたいと願うが、ティアラは異世界から転移したので戸籍が無い。サクヤも名無しで戸籍が無いので、結婚することで戸籍を得られるので、婚姻届けを出してすぐに離縁しようと偽装を提案する。サクヤはそれを受け入れるが、婚姻届けを出した後に、離縁するには半年の期間が必要だということを知り驚愕する。

もこもこの所感

  • 不器用なサクヤの想い
  • 酔ったフリしてサクヤに触れるティアラ
  • お弁当をねだるライテイ

  • ライテイの突然の離縁は最低
  • リガクがティアラに言い寄る経緯が分からない
  • 側妃(媚香妃)が何したいのか分からない

登場人物は3人。主人公ティアラ、ライテイ、サクヤ。あとがきを読むと『一人の女を愛して護るために、全てを失う男と全てを手に入れる男』がテーマであると書かれていて、なるほど……と読了後にモヤモヤした気持ちが落ちてきました。

もこもこ

ライテイがティアラのことを大切に思っているだろうことはラストの方でもよくわかるけれど、男の美学的なところが私としては許せなかったです。大好きなのに戻ってくるだろうことを前提に突き放す意味が分からない。
サクヤは不器用でティアラをいつかライテイに返さなければならないと思いながらも、距離をつめていくところに胸キュンしました。
もしティアラの立場なら、きっと私も元の世界へ戻りたいと思うけれど、1年もうじうじしているところに少しイラっとするし、その間にライテイと距離を詰めていたら、ライテイのことを信じる何かをもっていたのではないかなと思いました。

感想(ネタバレ含)

言葉がたりない男たち

ライテイもサクヤもどちらも言葉が足りないし不器用な男なのにどうしてこんなに違うのか。つまるところ、生まれた環境・立場・状況だよねって思わずにはいられない。

最後になるまでライテイの考えていることや行動の理由が全く読めません。態度に表さないのもティアラのためといえばそうなのかもしれないけれど、それがそのときの“ティアラ”と”ライテイ”の距離だったと私は思う。ティアラは突然理由も分からないまま異世界に召喚され戻る術もないといわれる。

自分が住んでいた世界から切り離されて一人ぼっちだったら、周囲に対して不信感や疑念もあるだろうし、例え28歳であろうと心を閉ざすだろう。でも、ティアラは1年くらいずっと不貞腐れていて、もちろんライテイに対して頑なになる気持ちはわかるけれど、自分の置かれた環境を把握するために上手く立ち回ったり情報収集をしたりすることもできたのではないか?一旦、脇に置いておいて、歩み寄ることもできたよねっと感じる。それが悪いことだと私は思っていないし、むしろ時が解決してくれるのを待つ方が自然じゃないかと思う。なんでまず結婚したのかってよくわからないけれど(断ることができないんだろうし)、だからってライテイが無理に抱くことなく、ただ抱きしめて眠っていたのも、龍星帝の日記を読んで笑い合ったのも、ティアラにとっては異世界に慣れるために必要な時間だったと言える。

だから、ティアラがライテイに対し好意をもったタイミングで測妃が来て、しかも祟り神が供物を要求したのも、時期が悪かったから仕方がないとしか言えない。

それでも、他に何か方法があったのではないか?と、もし私がティアラの立場だったらライテイに問いただしたくなる。その方法を考えたのが3カ月だったわけだけど、もしもっと早くにライテイとティアラが結ばれていて、もっと距離が近づいていて、ティアラにもこの世界で生きる覚悟ができていたら共に闘う術があった。いや、そうでなくても、闘う術はあったのだ。

サクヤはライテイの意図を察していた

サクヤはライテイからティアラを預かり。まさにサクヤの方がライテイの意図を理解していたわけだけど、結果そうならず。だってそうだよね。もしサクヤに理由を伝えていたら、確実にサクヤとティアラが結ばれることはなかったはず。サクヤはそうならないように行動をするはず。

ライテイは離縁しても自分のことを好きでいてくれる、ずっと自分を思って嘆いているに違いない、解決してティアラを迎えに行ったら受け入れてくれるに違いない。と思っているわけで、なんでこんなに自意識過剰なのかと思わずにいられない。つまり、ライテイの甘さだとしかか思えない。それがティアラを失った原因。

1年もずっと、故郷をおもっていじいじして。ライテイと話はするものの受け入れるまでに1年ちかくかかっているわけで、やっとライテイのことを好きになった時に突然説明もなく離縁を言い渡されたら、よほど愚かな女でなければ、やるせない気持ちしかないし許せないだろうと思う。

そんなときにずっとそばにいてくれて、支えてくれて、守ってくれる人がいたなら。心がうつるのは当たり前ではないのかな。

物語の世界では、守るために身を引く、手放す……そんな展開にドキドキもするしハラハラもするし、憤りを感じるし、それでも最後はハッピーエンドを期待する。本作でも、サクヤ(大好きだけど)の存在感が大きくなるにつれて、ライテイなにしたいの?どうするの?と、離縁したシーンとは全く印象の異なる彼にイライラとしました。

やっぱり、私はバカバカしいと思う。愛しているから失うって。

ライテイは国民を選んだ。国を守ることは彼女を守ることでもある。国を守れるのはライテイだけだった。遠ざけても自分を思って泣いていてくれる、嘆いてくれている、そして迎えに行けば戻ってくるだろう。そんなのエゴでしかないのに。

愛しているから失うは正しいけれど、それって独りよがりだよね。

ABOUT ME
もこもこ
魔法・異世界・騎士・王子といったキラキラファンタジーが大好きです。女子向けライトノベルやティーンズラブ小説を中心に読んでいます。読んで楽しかったなという気持ちをブログにまとめています。

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