子どもの喧嘩みたい!童心に戻りたい女子向けライトノベル『転生したら15歳の王妃でした~元社畜の私が、年下の国王陛下に迫られています!?~』(ろいず)について紹介します!
- 死後に異世界の美少女の体に魂が入った
- 美少女幽霊 × 過労死した女子 × 皇帝
- 軽いノリとテンポ良い速さ
あらすじ
主人公は元28歳のOL。過労で亡くなっているので異世界転移ではなく異世界転生ではあるんだけど、15歳の王妃エミリアの亡くなった体に憑依した形になるので「転生」って言っていいのか、体の乗っ取りなのかよくわからない状態。エミリアは別に存在するので、乗っ取りだろうw
エミが目覚めたのは、棺桶の中。目覚めたら箱の中にいたってホラーだよね。何より葬儀に訪れて別れを告げていた人にしてみたら、心臓吐き出すくらいビビるよね。
何回読んでも、棺桶で目覚めたシーンと棺桶から起き上がるエミの姿を想像して吹き出してしまう。私、こういうの好き。こういう始まりだから、てっきり一度亡くなったことがきっかけで前世を思い出しながらよみがえったのかなと最初は思っていたんだけど、そうじゃなかった。
エミが乗っ取った体の主エミリアはとてもかわいらしい美少女で食が細く見た目は儚げなのに、超絶わがままなお妃さま。自分の意志とは無関係にルシード連合国の国王テオドールに嫁がされた故に反発してわがまま放題、城の者みなからよく思われていない。もちろんテオドールとの関係は最悪。どちらも魔法の力がとても強いので城を破壊するレベルの攻撃し合う”夫婦喧嘩”をするし、口喧嘩なんか当たり前。テオドールはさらっと夫婦そんなもんだろとあまり気にしていない様子。そうしたところもエミリアにしてみれば面白くないようだ。
目覚めて一番最初に目にしたのはテオドール。すぐに自分がエミリアではないことがばれ、異世界人であることも把握。エミリアは確かに一度死んでいて棺に納めたので、”目覚めた”となると世間では問題になる。弔問客の目もある。テオドールは魔法でエミを黙らせてその場から連れ去る。
登場人物は、ヒロインのエミ、ヒーローのテオドール、そしてエミの体の持ち主のエミリア。テオドールもエミリアもエミのことを気に入っていて大好きなので、とりあったり。そして亡くなっているエミリアがその後どうなるのかといったお話になっています。
もこもこの所感
子どもの喧嘩のようなノリでテンポよくすすみます。恋愛要素はあまりありません。
体が自分のものでないから…と遠慮して自分がどうしたいのかはっきりしなかった主人公が彼らを通して自分の生き方を見つけるところに惹かれました。
原作とはかなり内容が違うため、両方読むと二度おいしいです。
感想
最初に、本作はなろうで連載しているストーリーと異なっていて、原作も面白いけれど本作も面白くなっているのでぜひ両方読んでほしいと思う!
ギャグっぽいところや、掛け合いなどもありワチャワチャ楽しい内容になっているので、落ち着いたストーリーが好きな方には不向きかもしれません。
エミの精神年齢は28歳。生まれ変わったわけではないので人格も同じ。元気なキャラクターだけど年齢設定を疑うような言動や行動はなく、とても違和感なく書かれているなぁと思う。よく、設定はアラサーだけど、思考や行動がどう考えても10代だろという作品をみかけるけれど、ほんとによくキャラクターを作りこまれていると思う。ほんとに。
エミのキャラクターに惹かれる。ヒロインが好きって重要だよね。
ということで、ストーリーに戻りますが、エミリアは自分の意志とは無関係にルシアード連合国に嫁がされます。貴族世界では家が決めた婚約は当たり前だし、女性が自立するというのは考えられない世界。その世界でエミリアは自分の意志で自分の道を切り開きたいと考える、まさに現代社会の女性代表のような人物像。何も間違った考えをもっているわけでもないし、筋も道理もあっている。でもエミリアが住み世界ではそれは間違い。だから腫物のような扱いをされているし、周囲の人とは誰ともなじんではいない。それでも自分の信念を曲げずに貫いた結果、足を滑らせ頭打って死ぬなんてまぬけなエミリアがかわいくて仕方がない。エミも好きだけど、エミリアも大好きさ。
喧嘩するほど仲がいいともいうけれど、テオドールと壮絶な喧嘩をしてエミを取り合うところなんか本当にかわいいと思う。妹に欲しい。
ここでは、エミ・エミリア・テオドールの三人を軸にストーリーが進む。エミリアには思い残したことがあるので現世にとどまっているけれど、長くいすぎると悪いものに変わってしまう。悪霊?
エミはエミリアを助けようと奮闘するんだけど、エミリアが築いた最悪な人間関係のなか、負けずに新たな人間関係をちょっとずつ築いていったり、とにかく脂っこく濃い味付けの料理人たちを手なづける姿はまるで調教師。
前世は過労で死んだことから、働きすぎには敏感になっているけれど、エミも社畜生活から抜け出せていなさそうだなぁと思う。
もし自分が過労で亡くなって同じような立場で目覚めたとき。どうするだろう?テオドールはそのままでいいといってくれた。なら、私は働かないでゆったりお妃さま(お飾りでも)の生活を送りたいし、最悪な人間関係はどうにかしたいとは思うけれど、そこまで誰かのために何かしようと思うのかなと考えた。
働く意義を考えるようなストーリーだと思う。
私は会社員をしていて毎日同じ時間に勤務開始して、終わる時間は正直バラバラで夜10時ちかくなることもある。社畜といえば社畜だけど、私のやりたいこと好きなことに近い仕事だからまぁ仕方ないかという気持ちもある。
仕事と好きなことってイコールなのかな。
「転生したら15歳の王妃でした」でもエミリアが繰り返しエミにいうんだよね。やりやいことをやるべきってこと。
私にとって仕事は生きるためにしなければならないもので、好きとは別の軸にあると思う。そして好きでないほうがいいとも思っている。好きは義務とか役目とかそういうのを追わずに自由にしたいから。
でも生きてる時間の中で、仕事をしている時間が一番長いんだよね。人生の半分以上が仕事なんじゃないかなぁと思うくらい。仕事だよね。
学生のころはやってみたいことはたくさんあったと思うけれど、今ってどうなんだろう。何をやりたいのかさえも自分ではよくわからなくなっていることに気が付いた。
エミリアはやりたいことを繰り返し問う。テオドールはエミのやりたいことを尊重しつつ、何もしなくてもいい好きなことすればいいという逃げ道も提示する。エミは。自分のやりたいことを一つずつ見つけていく。いや、もうすでに大きなやりたいことがあって、そのために一つずる行動している。
やりたいことってなんだろうな?
関連URL
原作(小説家になろう)
【WEB版】転生したら15歳の王妃でした 〜聖女のチートなんて興味がないし、気ままにおいしいごはんを作ります~
pixivノベル(書籍版の内容が読めます)
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